Never Stop My Curiosity

知的好奇心の赴くままに。

betatrophinはヒトβ細胞を増殖させないのか?

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昨年発表されたハーバードのMelton教授のラボで発見された、膵β細胞の複製を強力に活性化するホルモンであるbetatrophin(ベータトロフィン)

このbetatrophinがヒトで有効であるかを検証した論文がDiabetesで報告された。
この論文、実験方法がとてもクール。

www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/24353178/


まず、膵移植のことを考えて、GVHDの起こらないNOD-Scidマウスを用いている。


このマウスにインスリン受容体アンタゴニストのS961をosmotic pompで持続的に注入すると、肝臓のbetatrophin mRNAが約4倍に増え、Ki67陽性β細胞(複製してる細胞)は20倍にも増え、Cellの論文の再現がおおよそ確認された。


ここからが素晴らしい実験だ。

右腎にマウス膵島を、左腎にヒト膵島を移植した。

そのマウスにS961を投与すると、右腎に移植されたマウス膵島ではβ細胞の増殖が確認されたが、左腎臓に移植されたヒト膵島では、4歳の方のサンプルでさえ増殖が確認されなかった。

マウスでは12ヶ月齢、かなりおっさんマウス由来の膵島でさえも反応した。


この結果はもしかするとbetatrophinはマウスのβ細胞は増やすがヒトのは増やさないかもしれないことを示唆する結果となった。


しかし忘れてはいけないことは、betatrophinはどうやってβ細胞を増やしているのか全くそのメカニズムがブラックボックスであるということだ。


例えばbetatrophinがある特定の受容体に結合して薬効を示すとすると、単純にヒトbetatrophinの受容体が種差の関係でマウスのbetatrophinに反応しなかっただけかもしれない。


この結果だけではbetatrophinがヒトでは効かないよ、と結論を出すのは危険だが、その可能性もあることは示唆された。


ちなみにヒト膵島は日本ではなかなか手に入らないもので、日本ではこの種の実験をすることはかなり困難だ。


これからどんどんでてくるであろう、betatrophin関連の論文、特にヒト膵島を用いた実験に注目だ。


ヒトES細胞由来インスリン産生前駆細胞の応用例

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ヒトES細胞由来インスリン産生前駆細胞をTheracyteという2層のカプセルデバイスに入れ、1型糖尿病モデルマウスを治した例が報告された!


www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1873506114000300


この論文のではTheracyteっていうカプセルがすべてなのだが、面白い知見が多い。


Theracyteが何者なのかよくわからないが、免疫担当細胞は通らず、栄養因子は通し、ヒトES細胞由来インスリン産生前駆細胞はβ細胞に分化するということだろう。

インスリン前駆細胞っていうのは、ぼくの記憶が正しければ、インスリン分泌量がβ細胞に比べて圧倒的に少なく、糖依存的なインスリン分泌もなかったはずである。
これが、生体内に入れておいたら、勝手にβ細胞っぽいものになるのであれば、そのプロセス(分子生物学的な作用メカ)はブラックボックスでも臨床応用が近くなるだろう。

残る課題は、150日以上の細胞、Theracyteの耐久性だろう。
何せ、糖尿病は完治しないので、ずっとインスリンを出させなければならない。

iPS細胞への応用ももちろん可能であるので、日本でもこの手の研究は今後成熟していくだろう。

非常に面白い研究。

【書評】サラリーマンだけが知らない好きなことだけして食っていくための29の方法-立花 岳志さん

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ぼくの最も好きなブロガーの1人、立花さんの新書が出た。

普段はAmazonなどのネットでポチが多くなったが、今回ばかりは自らの手で本を探そうと決めて、2件目で残り1冊をゲット!

ブログなどで書かれている立花さんの考え方ともちろん重複するところはあるが、1冊の本にしてまとめると、著者の考え方とこれまでの行動がスムーズに理解できる。

とくに行動。

こう考えて、のところは良い本が沢山あるが、で、どうすんの?の行動のところを著者自らの多くの体験談(特に多くの失敗談)として書かれているところがこの本の大きな特徴だ。

著者はいわゆるノマドだが、ぼくのいる製薬メーカーの研究や開発などの組織は個人でコンサルタントなどをしている方を除くと、基本的には組織に属して仕事をしている。

ぼく自身、今も、そしてこれからも組織に属して働く予定だが、そんなフリーになる気が全くない人に対しても本書はマストバイだ。

立花さんの言う自由とは、組織に属そうが、属しまいが、自由ってその心構えと行動なんだな、と気づかせてくれる。

29の方法について、特にぼくの心に響いたのは、以下の4つだ。

  • 3.  自分だけの「軸」にしたがうことに徹する。
  • 7. 「本当に自分がやるべきことなのか」を考える。
  • 21. やりたいことがあるなら、やらないことも決めなさい。
  • 24. いつも三日ぼうずな自分は「素晴らしい」
3. 自分だけの「軸」にしたがうことに徹する。

自分軸とは「認識と行動が一致すること」で、自分軸を作るということは目指す自分、つまり自分の意識に向かってひたむきに行動していくこと。

人は何となくなりたい自分がいて、でもその人とは程遠い自分がいて、そんな自分はダメだなぁ、と思っていることが多いだろう。

少なくともぼくはそうだ。

でも、なりたい自分を明確に認識することがまず大事で、そして行動!
認識と行動が一致する、つまり、なりたい自分に向かって行動するのみだ。

しかし、この行動を習慣化するのがすごく難しい。
習慣化に対しての著者のアドバイスが21と24に書かれたことなのだろう。


7. 「本当に自分がやるべきことなのか」を考える。

あなたが生きるミッションは何ですか?
「お金持ちになりたい」「有名になりたい」「社長になりたい」「本を出版したい」など「自分が」どうなるかを中心に「やりたいこと」が決められていきます。そして自分のやりたいことがある程度実現してくると、僕たちはより社会的な存在へと変化していくことが多いのです。

会社とか、会社内の部署ごとにすごくかっこいいMissionとかMission Statementというのは普通存在する。

でも自分のMissionは?となるとなかなか難しい。

これは本を読み終わってから数時間ボケっと考えて、今現在ぼくがMission Statementとして考えたものは、恥ずかしいが以下のようなものだ。

家族、友人、会社の人など周りの人を笑いの耐えない幸せな状態にしたい。そして、仕事では新薬を患者さんに届けることに微力ながらも貢献し、今まで救われなかった患者さん、そして患者さんを思う周りの人を笑顔にしたい。


ちょっとクサい感じだけど、笑い(笑顔)と幸せがぼくのキーワードだ。

そのために薬学部で勉強して製薬メーカーに勤めているのだ。

なんか初心を思い出させてくれる経験になった。

ただ、このクサいMission Statementは早急にかっこ良く直す必要がありそうだ(笑)

そして、薬学部の教授が言ってくれた学生時代に感動した言葉も同時に思い出した。

お医者さんは一生かけてもせいぜい数千人しか助けられない。でも、ひとつ画期的な薬を作ることができれば、それこそ何百万人もの患者を救うことができるポテンシャルが創薬にはあるんだよ。

母が比較的若くして癌になり、手術をし、抗がん剤で髪の毛がばっさり抜けたのを見ると、なんで治す薬がないんだ!と製薬メーカーの無力さ、サイエンスの未熟さを思い知らされた。

普段は仕事に追われて忘れがちなことだが、この思いを忘れずに研究や開発に携わる人は仕事をするべきだろう。


21. やりたいことがあるなら、やらないことも決めなさい。


何かを「する」と決めたときには、必ずセットで「しないこと」も決めるのです。
「やらない」「持たない」を定義していくことで、逆に「やる」「持つ」が先鋭かされ、クリアに見えてくるのです。


仕事では、いわゆるnot to do listなるものは忙しいときには作っていた。

これがないとやるべき仕事が後手後手になってしまうからだ。

でも、これをプライベートにまで落とし込む発想がぼくには欠落していた。

過去の反省では、TOEICの勉強をはじめよう!と決意しても、何とか時間を捻出したり、睡眠時間を削ってみたりしながらとりあえずはじめてみる。
でも結局、「仕事が最近忙しいから」を言い訳に習慣化できないことが多々あった。

はじめからスケジュールにその「コマ」を空白にする必要があったのだ!
これはぼくにとって大きな気づきだった。

24. いつも三日ぼうずな自分は「素晴らしい」

何か新しいことにチャレンジしたときに、もし三日ぼうずで終わったならば、そのことを責めるのではなく、大いに褒めてほしいのです。「3日も続けてできた!」と。
3日実行して1日休む。三日ぼうずでも100回繰り返せば1年で300回も実行できることになるのです。

 

習慣化には当たり前だが、時間がかかるし、忍耐が必要だ。

いつもなかなか長続きしないで自分が嫌になるけど、それまで続いた自分を褒めていいんだ!というと心が楽になる。1日休んで3日やる、でも充分!

習慣化のプロらしい、素晴らしい発想だ。


こんなに長い書評になったのははじめてだ。

でもそれだけ心に響くテーマが多い一冊だった。


セミナーや飲み会も時々開いている立花さん。

いつかセミナーに参加して本人に会ってみたいなぁという思いが強くなった。 


学生、社会人、ノマド、会社員、主婦、主夫。皆にオススメできる一冊でした!


サラリーマンだけが知らない好きなことだけして食っていくための29の方法

サラリーマンだけが知らない好きなことだけして食っていくための29の方法


武田薬品が週1回のDPPP-4阻害薬を国内申請!

世界初の週1回DPP4阻害薬がもうすぐ? 


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武田薬品は週1回のDPP-4阻害薬treragliptin(トレラグリプチン)を国内申請した。

https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/47672/Default.aspx 

同様の週1回のDPP-4阻害薬としては、sitagliptinを開発したMerckomarigliptin (オマリグリプチン、MK-3102)Phase3で開発中だ

これまでのDPP-4阻害薬はsigagliptinシタグリプチン)をはじめ、1日1回から2回。

週1回のDPP4阻害薬が出ることで糖尿病患者さんにとって大幅に服薬コンプライアンスがあがる、のだろうか。

そして週1回のDPP-4阻害薬はこれまでのDPP-4阻害薬と置き換わるのだろうか。

 

週1回のDPP-4阻害薬の使われ方

個人的な意見だが、これら週1回のDPP-4阻害薬はSitagliptinをはじめとするこれまでのDPP-4阻害薬とは違う使い方をするだろうと思われる。

というのも、糖尿病患者さんの多くはメトホルミンやSU薬など色々な薬と併用していることが多いからだ。


この薬だけ週1回で、他の薬は毎日ね、となると、患者さんにとってはむしろ迷惑だろう。

さらにシタグリプチン / メトホルミンの合剤ジャヌメットのような製品も作れない。


ということで、あなた糖尿病ですよ、とはじめて診断された、かつ軽度な患者さんにtreragliptinを、となるのではないかと予想する。

ミクスの記事でも武田の方針はalogliptin (ネシーナ)と競合しないことが書かれている。

 

今回申請したトレラグリプチンはネシーナの後継品とは位置づけずそれぞれの経口血糖降下薬の特性を生かした治療提案をしていく方針。

 

どのような使い方がされるのか、売上はどのぐらい伸びるのか、予想が難しい薬剤ではあるが、患者さんにとってはオプションが1つ増えることは良いことだろう

そして、treragliptinomarigliptinうち、どちらも無事に承認されるのか、どちらがbest in classの薬剤になるのかが見ものだ。

PhRMAの糖尿病治療薬開発リスト

アメリカでの糖尿病治療薬、糖尿病関連薬の臨床入りは180!

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アメリカは言うまでもなく、製薬メーカーにとって世界最大のマーケットであり、最も多くの薬が臨床入りしている。

PhRMA(米国研究製薬工業協会)が現在臨床試験中の糖尿病治療薬のリストを公表した。
その数、なんと180!


リストをザッと見た感想は4, 5年前に多くの会社が手掛けていた有望と思われていたターゲットがほぼ終わった、またはかなり少なくなってしまった感じ。
それらのターゲットとは、

  1. DGAT1 inhibitor
  2. GPR119 agonist 
  3. 11beta- HSD1 inhibitor
  4. Glucokinase activator

などだ。

これらの標的は1だと脂肪の多い食事のあとにお腹がくだるとか、2だと薬効がすぐ切れちゃうらしいとか、すでに論文や学会で発表があったものが多いので当然だろうか。

唯一、4に関してはまだPfizerがpartialなものを開発していたり、AmgenがGKRPとの結合を乖離させる化合物をNatureに出したり、肝特異的なものを研究している会社があったり、期待が持てるかもしれない。

ターゲットとしては臨床での有効性が保証されているGLP-1関連薬、SGLT2 inhibitor、インスリンが多く、少し残念なことはインスリン抵抗性改善薬があまりないことだろうか。

詳しいことはわからないが、第一三共がいかにもインスリン抵抗性改善薬っぽいものを臨床に入れている。

DS-1150b
(GLUT4 stimulant) 


GLUT4は骨格筋等に発現しているインスリン感受性のグルコーストランスポーターで、インスリン抵抗性状態ではこれの膜への移行が障害されていると言われている。

これがPPARγ agonistでした、ではがっかりだが、数少ないインスリン抵抗性改善薬らしきものに注目だ。

Rani Therapeuticsの技術の詳細が明らかに!

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Rani Therapeuticsの技術は'Robotic' Pills

 

Googleの支援を受けているRani Therapeuticsのタンパク質を経口で吸収させる技術がWSJに掲載されていた。

 

http://online.wsj.com/news/articles/SB10001424052702304899704579389042422328308

 

鍵は薬剤が充填された糖でできた針 'needles made of sugar and preloaded with drugs'だ。

 

簡単に要約すると、以下のような技術である。

 

pHが小腸のレベルまで高くなると(小腸は弱アルカリ性外側のポリマーが溶解し、内側の弁が露出し、そこからクエン酸と重炭酸ナトリウムが分離する。

弁が露出した際にこの2つの物質が混ざり、二酸化炭素が生成される。

これがエネルギー源となり、風船のような構造が静かに膨らみ、薬剤成分をあらかじめ含有させた糖でできた針がその中に含まれる。

その針が小腸内壁に刺さるが、そこには痛み受容体が存在しない。

一度刺さると、装置から離れ、ゆっくりと崩壊する。

一方、風船(二酸化炭素)やポリマーは体外に排泄される。

 

う~ん、製剤化が難しいし、普通の錠剤やカプセルよりもずっとお金がかかりそうにも思えるけど、アイディアがすごく斬新。

特に糖でできた針に薬剤を充填させるという発想は普通の製剤をやっている人ではあまり考えないかなぁ、と。

そして、いかにもGoogleが好きそう()

 

さらに、こんな記載も。

Rani Therapeuticsは前臨床試験でこのRobitic Pillsは少なくとも注射と同様に吸収を高めたことを示した。

 

動物レベルでは有効性を示せたということで、あとはヒトでも血中濃度が安定して上がるか。

そして気になる点は食事とのタイミング。

やはり食後ともなるとこの針が消化された食べ物に刺さって吸収されませんでした、となると思うので、空腹時が想定されるだろう。

となると、インスリンの場合はおそらく基礎インスリンを想定していると思われる。

そしてインスリンだけでなく、抗体医薬を充填したりも理論的には可能だろう。

 

ドラえもん級の発想に脱帽だが、ホントにこんな技術が実用化できるのか、ちょっと疑問が残る。

STAP細胞について思うこと

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小保方さんすげー!

 

まだ30歳、そして控え目に言ってもかわいい(個人的には超好み)、女子力抜群の小保方さんが発見したSTAP細胞。

 

 STAP細胞の可能性や小保方さん個人への興味で報道が過熱しているが、数日経った今、少し冷静になってぼく自身の感想を3つにまとめてみたい。

 

1.医療への応用

 

こちらはヒト細胞でSTAP細胞が作れる、という大前提が必要となるが、サルでの実験も進めているということなので、こちらはクリアできるだろう。

 

iPS細胞はほとんどの細胞をiPS細胞に初期化できるが、STAP細胞はその単純な処理の性質上、STAP細胞にするのが難しい細胞がある、なんてこともあるかもしれないが、これは医療への応用を妨げるものにはならない。

 

iPS同様、まずは心筋細胞の薬物への影響等、創薬研究への利用などからはじまり、その後再生医療へ、というタイムラインとなるだろう。再生医療への応用という点ではES細胞, iPS細胞で培った万能細胞から分化への研究成果がSTAP細胞においても利用可能だろう。

 

糖尿病を研究している者としては、やはり膵β細胞への分化は可能か、というところが気になるところだ。

 

2.日本発の発見の優位性を維持できるか

 

心配なのが、STAP細胞研究で日本が優位性を保てるか、ということ。

 

iPS細胞の研究、応用は今まで見たことがないぐらい多くの人、資金が注入されているだろうが、STAP細胞にもつぎ込む予算がとれるか。

 

資金をつぎ込むことを政府が決定した場合、予算は他の研究から奪われるのだろうか。

 

iPS研究のしわ寄せである特定の分野に資金が昔ほど入ってこなくなったという話も聞く。

 

iPS, STAP細胞は日本発ということもあるが、他の研究分野を諦める覚悟で行くか、他に予算を取れるか、難しい問題になるだろう。

 

 iPS細胞と重複する研究もあるので、コラボということも可能だろうが、資金面ではやはりアメリカがずっと優位だ。

 

iPSの例を示そう。

 

2014/02/02 現在、Pubmed”iPS cells”で検索すると、6819件の論文がヒットする。

検索方法が的確でないかもしれないが、日本から出た論文をjapan[affiliation]で検索してみると864件。

united states OR america[affiliation]でアメリカを検索すると1842件だ。

 

かなり日本が頑張ってる!と言えるし、論文の質も考慮しなければならないが、アメリカがおよそ2倍の論文数という現状だ。

 

 STAP細胞は作り方が超単純!

iPS細胞以上に早いスピードで多くの研究者がはじめ、競争が激化するのが必至だ。

 

山中先生を中心にチームを作ったように小保方さんを中心にチームを作るのか、今後の展開が楽しみだ。

 

3.いわゆるリケジョについて

 

最後はどうでもよい話で締めくくろう。

 

ぼくは薬学部出身なのだが、正直薬学部には昔からかわいいリケジョは多い!

 

めっちゃかわいいし、オシャレだけど、普段は12時まで実験してる、という女性は薬学部の生命科学系の研究室では(少なくとも約10年前のぼくが学生時代には)珍しくなかった。

 

これが工学部とか理学部の生物系以外とか行くと人数は激減するが、リケジョに会いたい人は薬学部に行くべきだ!と言いたい。

 

旧帝レベルの大学にももちろんそういう方はいるのだが、特にかわいい女性狙いなら私立というお話もある。

 

でも、ぼくが大学(院)にいた頃は薬学部4年制で薬剤師免許も取れて、さらに修士課程に進むという時のもの。

 

6年制になった今、同じように研究室にたくさんのリケジョがいるかは残念ながら保証できない・・・

 

最後はどうでもいい話になってしまったが、今後のSTAP細胞研究の発展、そして国をかけた政策には大注目だ!

 

Oramedが経口インスリンのP2a成功!

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経口インスリンの道が開けたか?

Oramedの経口インスリン (ORMD-0801)Phase2aが終了し、30名をエントリーした1週間の試験でprimary endopointである安全性、忍容性とsecondary endopoint PK, PD (血糖低下)目標が達成された模様。

まだまだ人数も少ないし、期間も短いので大きなことは言えないが、経口インスリンが体に入って血糖をコントロールする技術が目の前まで来てることを予感させる結果だ。

 

CEOの以下のコメントにこれからの指針が示されている。

"Following on the results from this type 2 diabetes study we are gearing up to start a multi-center Phase 2b study later this year. We are also excited about the potential of this drug for type 1 diabetes and plan to initiate a Phase 2a FDA study for this indication in the near term."

 

2型糖尿病の試験結果を受けて、年内にマルチセンターのPhase2b試験の開始できるように進めている。さらに1型糖尿病の可能性にも期待しているし、FDAとの協議のもとでPhase2aの試験を近々始める計画である。

 

まだまだ人数も少ないし、期間も短いので大きなことは言えないが、経口insulinが体に入って血糖をコントロールする技術が目の前まで来てることを予感させる結果だ。

 

Novoの経口インスリンはどうなんだろう?

この2社がおそらくは経口インスリンの本命といえるのではないだろうか。

 

 

イプラグリフロジンが日本第一号のSGLT2阻害薬に!

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SGLT2阻害薬初の承認取得

 

アステラス製薬が開発していたイプラグリフロジン(スーグラ錠)がついに日本で初の承認取得をした。

 

アメリカでは田辺三菱が創生し、Janssenが開発したカナグリフロジン(Invokana)が、ヨーロッパではBMS/AZのダパグリフロジン(Forxiga)がfirst in classとなっていて、世界中で開発競争が激化している。*1

 

すでにアメリカではカナグリフロジンの処方がDPPIV阻害薬売上トップのジャヌビアを超えたというニュースもあって、SGLT2阻害薬は大型新薬になる可能性を秘めている。

肥満を伴った患者に対してSGLT2阻害薬の体重低下作用が喜ばれ、医師、患者に受け入れられた結果だろう。

 

SGLT2阻害薬のおさらい

 

世界中で競争が激化しているSGLT2阻害薬だが、おそらく商品の数では日本が最も多くなると思われる。

なぜかというと、今回承認取得を受けたイプラグリフロジンをはじめ、複数のSGLT2阻害薬が日本でのみ開発が進められているからだ。


では、日本で現在開発中のSGLT2阻害薬をおさらいしてみよう。

 

  1. イプラグリフロジン:アステラスが開発。アステラス/MSDが販売。
  2. ダパグリフロジン:BSM/AZが開発。AZ/小野薬品が販売。
  3. カナグリフロジン:田辺三菱が開発。田辺三菱/第一三共が販売。
  4. エンパグリフロジン:NBIが開発。NBIと日本Eli Lillyが販売。
  5. トホグリフロジン:中外が開発。Sanofi/興和が販売。
  6. ルセオグリフロジン:大正が開発。大正/Novartisが販売。*2

 

何がすごいって、すべての開発品が2つ以上の会社で販売されるということ。

売り上げがMRの数で決まるという要素もあることから、営業も激戦になることが予想されます。

 

グローバルで開発されている2, 3, 4に関しては今のところ大きな差別化ポイントはなさそうです。

 

今後は腎機能が落ちている患者での有効性や副作用(尿路・性器感染症、膀胱がんリスク、骨密度低下リスク等)などで差別化が進むのだろう。

 

注目はLX-4211

Globalで見ると、上記の他にPfizer/Merckというビッグファーマ2社が共同開発しているSGLT2阻害薬ErtugliflozinとLexiconがPhase2を終了させたSGLT1/2 dual inhibitorのLX-4211がある。

 

個人的にはLX-4211は副作用がSGLT2阻害薬と同程度で収まれば、SGLT2阻害薬の市場を取れる大型新薬になると期待できると思う。

 

SGLT2阻害薬で吸収阻害した糖分はかなりが遠位尿細管のSGLT1で再吸収されているだろう、とも考えられているようで、dualで阻害すると、より尿に糖を排出できる可能性がある。

さらに、腸管で糖が吸収されずGLP-1の分泌が増えることもあり、DPPIV阻害薬との相性も良い!

ただし、お腹がくだるんじゃないかな、とも思われるので、Phase3での副作用情報に注目だ。

 

 

 

 

 

 

 

*1:BMS : Bristol-Myers Squibb, AZ : AstraZeneca

*2:NBI : 日本Boehringer Ingelheim

血糖値を測定するコンタクトレンズ!!

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Googleコンタクトレンズ

こちらのニュースによると、Googleの中の世の中を変えようぜ!的な組織のGoogle X labsが血糖値を測定するコントラクトレンズを開発中だとか。

 

血糖値が高すぎたり、低すぎたりするとLEDで知らせてくれるということで、さすがに血糖値は120ですよ、とまではいかないのだろうか。

 

原理的には皮下の間質液のグルコース濃度(ほぼ血糖値)を測定する持続血糖測定(CGM)システムと同じだろう。

CGMの良いところは、1日24時間グルコース濃度を測定できるところ。

ただ、センサーを皮膚に刺さなければ測定できない。

このシステムを非侵襲的に行うには、体外にあって水分で満たされる部分ということで、目しかないのだろう。

これが実現すれば、特に毎日インスリンを打っている1型糖尿病の患者さんの負担は減ることになる。

さすが、本気で世の中を変えようとしている集団は違うな~。

 

欠点としては、毎日コンタクトで暮らしている人は普段のコンタクトをはずさないといけないぐらいか。

もしうまくいってもしばらく時間はかかるだろうが、いかにもGoogle X labsらしい発明品。

個人的にはGoogle Glassよりもずっと素晴らしいと思う。

 

Googleは創薬ベンチャーのCalicoを立ち上げたり、ヘルスケアにも本格的に取り組んでいるが、狙うは世を変えるもの、という感じだろうか。