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イプラグリフロジンが日本第一号のSGLT2阻害薬に!

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SGLT2阻害薬初の承認取得

 

アステラス製薬が開発していたイプラグリフロジン(スーグラ錠)がついに日本で初の承認取得をした。

 

アメリカでは田辺三菱が創生し、Janssenが開発したカナグリフロジン(Invokana)が、ヨーロッパではBMS/AZのダパグリフロジン(Forxiga)がfirst in classとなっていて、世界中で開発競争が激化している。*1

 

すでにアメリカではカナグリフロジンの処方がDPPIV阻害薬売上トップのジャヌビアを超えたというニュースもあって、SGLT2阻害薬は大型新薬になる可能性を秘めている。

肥満を伴った患者に対してSGLT2阻害薬の体重低下作用が喜ばれ、医師、患者に受け入れられた結果だろう。

 

SGLT2阻害薬のおさらい

 

世界中で競争が激化しているSGLT2阻害薬だが、おそらく商品の数では日本が最も多くなると思われる。

なぜかというと、今回承認取得を受けたイプラグリフロジンをはじめ、複数のSGLT2阻害薬が日本でのみ開発が進められているからだ。


では、日本で現在開発中のSGLT2阻害薬をおさらいしてみよう。

 

  1. イプラグリフロジン:アステラスが開発。アステラス/MSDが販売。
  2. ダパグリフロジン:BSM/AZが開発。AZ/小野薬品が販売。
  3. カナグリフロジン:田辺三菱が開発。田辺三菱/第一三共が販売。
  4. エンパグリフロジン:NBIが開発。NBIと日本Eli Lillyが販売。
  5. トホグリフロジン:中外が開発。Sanofi/興和が販売。
  6. ルセオグリフロジン:大正が開発。大正/Novartisが販売。*2

 

何がすごいって、すべての開発品が2つ以上の会社で販売されるということ。

売り上げがMRの数で決まるという要素もあることから、営業も激戦になることが予想されます。

 

グローバルで開発されている2, 3, 4に関しては今のところ大きな差別化ポイントはなさそうです。

 

今後は腎機能が落ちている患者での有効性や副作用(尿路・性器感染症、膀胱がんリスク、骨密度低下リスク等)などで差別化が進むのだろう。

 

注目はLX-4211

Globalで見ると、上記の他にPfizer/Merckというビッグファーマ2社が共同開発しているSGLT2阻害薬ErtugliflozinとLexiconがPhase2を終了させたSGLT1/2 dual inhibitorのLX-4211がある。

 

個人的にはLX-4211は副作用がSGLT2阻害薬と同程度で収まれば、SGLT2阻害薬の市場を取れる大型新薬になると期待できると思う。

 

SGLT2阻害薬で吸収阻害した糖分はかなりが遠位尿細管のSGLT1で再吸収されているだろう、とも考えられているようで、dualで阻害すると、より尿に糖を排出できる可能性がある。

さらに、腸管で糖が吸収されずGLP-1の分泌が増えることもあり、DPPIV阻害薬との相性も良い!

ただし、お腹がくだるんじゃないかな、とも思われるので、Phase3での副作用情報に注目だ。

 

 

 

 

 

 

 

*1:BMS : Bristol-Myers Squibb, AZ : AstraZeneca

*2:NBI : 日本Boehringer Ingelheim