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まさかのfasiglifam開発中止

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fasiglifam開発中止 

 

武田薬品工業GPR40 agonist fasiglifam (TAK-875)GPR40 agonistとしてfirst in classが約束されているかのような薬剤であった。

 

 

Phase2までは非常にキレのある薬効と高い安全性が示されていたが、まさかの肝臓における安全性の懸念から開発中止。

 

研究にさかのぼると、ぼくがまだ修士の学生だった2003年に武田がNatureGPR40の論文を発表し、その後もKOマウス、TGマウス等の発表を含め、この標的について常にリードしてきただけに残念だ。

2013年度のADA(アメリカ糖尿病学会)でもfasiglifampartialPAMであるという発表をして皆驚いていた。

 

一時期はGPR40KOマウスがインスリン抵抗性改善作用を示すという論文が出てGPR40agonistantagonistか、という議論もあり、実際に特許等を見るとantagonistを志向していた会社もあったようだ。

 

武田にとってはとても愛着のある製品になる予定であっただろう。GPCRのクローニングから機能解析、そしてfirst in classTAK-875の創生、しかも時期の主力製品としての期待。

研究者、開発の方々にとってはこんなに良いストーリーはなかなかない。

 

fasiglifamは本当に残念だったが、気になる点はfirst in classそしてそれに続くGPR40 agonistは何か、というところだ。

 

現在開示されている情報を見るとJTJTT-851という化合物が国内、海外ともにPhase2ということでこれが先行しているのかもしれない。論文や特許を見るとMerckLillyなどメガファーマも手掛けているようなので、これからはDPP4SGLT2などに次ぐ熾烈な競争があるのかもしれない。

 

一つ気になるのは武田のPipelinefasiglifamに次ぐback upがまだないことだ。Phase1までは入っているのだろうか。

 

一番面白い展開はJTT-851を武田がライセンスインするとか。

 

それはないかなぁ。