予防医薬は可能か?
月刊事業構10月号を購入してみた。
アンジェリーナ・ジョリーがカバーの人タイトルが
””グローバルに起こる予防医療へのシフト 未来の医療がはじまる”
記憶に新しい人も多いかと思うが、アンジェリーナ・ジョリーは乳がん発症の予防のために両乳房を切除する手術を行った。
彼女はBRCA1という遺伝子に変異が認められて、将来乳がんになる可能性が一般の人よりもずっと高い。
さら彼女の母や叔母もがんで亡くしている家族歴があることもこの選択に影響したと言われているようだ。
この行動は賛否両論あるが、BRCA1遺伝子に変異を持った人に予防的に発症を防ぐ薬があれば、この手術は必要なかっただろう。
将来的には、癌領域ではこの手の薬が出る可能性はあるんじゃないか、と個人的には思う。
ただ、今予防医療と想像すると一番のニーズは老化を抑制する(アンチエイジング)とか糖尿病、肥満症をはじめとするメタボリックシンドロームを予防する薬だろう。
ぼくはこの辺の領域を研究しているわけだが、このような夢の薬を作るのは非常にハードルが高い。
薬である以上、たとえば老化を抑制する薬では、販売する前の臨床試験でプラセボ(偽薬)と比べて有効であることを証明しなければならない。
容易に想像できるが、統計的に差を出すためには数万人規模、かつかなり長い期間の試験が必要だ。
現実的には、肥満症の薬とか、糖尿病の治療薬とかで承認されて、その薬はマウスとかでは寿命を長くしてるから人でもそうかもね、が限界かなと感じる。
話はそれるが、数年前SIRTRISとうハーバード大からスピンアウトしてできた会社がGSKというイギリスのメガファーマに買収されて世の中的には大きな注目を浴びたが、この会社がSIRT1活性化剤という長寿に関係がありそうな標的の研究をしていた。
最近の学会情報や臨床試験が進んでいないことを鑑みるとあまりうまくいっているようには思えない。
このSIRT1を活性化させるものとして(多くの議論はいまだにあるものの)赤ワインのポリフェノールの成分であるレスベラトロールが知られている。
現在できることとしては、赤ワインをがぶ飲みするか、サプリのレスベラトロールを飲むことぐらいだろうか。
ただ、このレスベラトロールはSIRT1活性化作用の有無はさておき、世界中の研究者からヒトでの良い作用が確認されている。
寿命を延ばすかは判断でいないが、怪しいサプリの中では数少ないオススメできるサプリであることは間違いない。
- 出版社/メーカー: 日本ビジネス出版
- 発売日: 2013/08/31
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