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スーグラ(イプラグリフロジン)の意外な副作用

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膀胱炎、尿路感染症でなく、最も多い副作用とは?


日本でfirst in classとなったSGLT2阻害薬スーグラ(イプラグリフロジン)発売から2週間が経ち、第一回の市販後調査•副作用中間報告がアステラス、MSDから開示された。

www.msd.co.jp/Documents/hcp/productinfo/eppv_suglat.pdf


ここに副作用情報のが記載されている。

何人の患者さんに処方されたかは不明なので、副作用の発症率は不明だが、副作用の総計を見ると相対的にどの副作用が多かったのかがわかる。

多かったものをピックアップしてみると、


  • 膀胱炎8例、尿路感染4例など、感染症および寄生虫症の総計は16例、重篤なし
  • 薬疹15例、全身性皮疹4例など、皮膚および皮下組織障害39例、うち重篤13例
  • 頻尿、多尿など腎および尿路障害14例

皮膚障害など、聞いたことがなかったし、先日行われた日本糖尿病学会の学術集会では全く話題にならなかった。

学会での話題としては、副作用情報に気をつけましょう。
一言で表すと、

若くて太った人は合うだろう。痩せてる人はサルコペニアの可能性があるし、老人は脱水や腎障害があることが多いので慎重に。あと、低血糖は起こりにくいけど、他剤との併用したらどうなるかわかんないので注意しましょう


的なトーンに感じた。

低血糖は今回の報告では6例と膀胱炎よりも低い割合ということで、臨床試験の結果同様、実臨床でも多くはなさそうだ。

さて、このイプラグリフロジンの皮膚障害はどの程度の割合なのか、そしてそこそこの発症率の場合はclass effectなのか、それともcompound basedな副作用なのか。

うまくfirst in classを勝ち取ったイプラグリフロジンだが、もし皮膚障害がcompound basedであれば、6製品7ブランドが乱立するSGLT2阻害薬のなかで早々と消える運命も可能性はゼロではない。

そしてclass effectの場合、なんか使いにくいよね、となる可能性も秘めている。

もちろん、たまーに皮膚障害とかあるけど、全然問題なし、となることも考えられる。

大きな差別化要因のない中で、勝ち残る、または消えていくのは、副作用情報がカギとなることもあるだろう。

次の市販後調査•副作用中間報告、他剤の報告にも注目だ。