Never Stop My Curiosity

知的好奇心の赴くままに。

今年の抱負は…どうする?

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抱負(目標)設定の時期が来ました!


明けましておめでとうございます!
気持ちも新たに新年を迎えている人が多いこの時期、今年の抱負(目標設定)を考える時期という人も多いだろう。
会社によっては、4月はじまりでそれに合わせることもあるだろうが、せっかくなので頭の整理として、ぼくが行っている目標設定の方法を書いてみたい。


 1. not to do listを作る
おそらく多くの人はやりたいことが多すぎる、さらに定期的に新たなことに興味が移って浮気してしまう。
まずは、目標にしないnot to do listを作ることにより目標をコロコロ変えることを防ぐことができる。


2. 目標を細分化する
今年の目標となると、かなり長いスパンの目標になる。
スタートダッシュ後の失速するのを防ぐために、例えば3ヶ月ごとなど、目標を細分化すると良い。
これはフルマラソンでいう各関門での制限時間の考え方だ。


3. 目標はflexibleに
1年後の現状など、この流れの速い世の中で予測できないことも多い。
転職する気が無かったのに半年後に別の会社にいることもあるだろう。
その場合は、目標はすっきりさせ、一新する必要がある。
そこまでdrasticな変化でなくても、状況に応じて目標は変更すべきだ。
達成しても意味のない目標は、もはや目標ではない。


4. SMARTな目標設定をする
会社での目標設定で良く聞く考え方だが、この考え方はプライベートの目標設定に対してもぜひ考慮すべきだ。

Specific : 具体性
英語を勉強する!ではなく、英語のメール10行をX分で、辞書なしで書けるようになる、など出来る限り具体的に。

Measurable : 計測可能性
できれば目標までのステップを細分化できるとよい。Xヶ月後にここまで達成できた!と計測できるとモチベーションを維持できる

Achievable : 達成可能性
実現不可能な目標は目標ではなく、妄想になってしまう。
達成可能性がないとモチベーション維持が難しい。
個人的には新年などのやる気のある時に立てる目標は、少し楽かも、ぐらいが丁度良いことが多い。

Relevant : 関連性
仕事やプライベートに英語を使う機会が全くないのに英語の勉強を目標にすべきではない。
目標達成が仕事やプライベートにベネフィットを付与するものであるべき。

Time-bound : 時間の有限性
期限が設定されていること、できれば細分化した目標に対して期限があるとよい。必ず、いつまでにこの目標を達成するという期限を設けるべき。


最後に
ここ数年、新年の目標を立てているが、後から見直して自分が成長したことを確認できること、さらに昔の自分はこんなこともできなかったと、懐かしむにも目標設定は良いかと思う。
ぼくは目標候補を書き出して、そこから今年の目標を抽出、Excelで縦にSMART、横に目標項目(期間別)を書いて管理している。
ぜひ2015年の目標設定の参考にして下さい。

SGLT2阻害薬副作用update !

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SGLT2阻害薬の適正使用に関するrecommendationが公表


これまで、empagliflozinを除く5製剤のSGLT2阻害薬が発売され、日本糖尿病学会(JDS)からrecommendationが公表された!

www.jds.or.jp/common/fckeditor/editor/filemanager/connectors/php/transfer.php?file=/uid000025_7265636F6D6D656E646174696F6E5F53474C54322E706466


ここから気になった部分を抜粋しよう。

対象患者について
やはり高齢者には、慎重投与となっている。
脱水などのメカニズムベースとなる副作用を考えると、多くの先生が言っているように、基本的には若い肥満患者がイメージする患者となるだろう。
さらに、体重減少が痩せている人でも起こる薬だという先生もいる。
体重減少というベネフィットが逆に痩せている患者では使いにくいと、結果的には市場を狭めてしまう可能性も考えられる。
そうなると、肥満患者が欧米ほど多くない日本ではDPP4阻害薬のような大きなインパクトはないのかもしれない。

副作用情報-低血糖
114例のなかで12例が重症低血糖、そのうち10例がインスリンとの併用ということで、糖毒性改善によるインスリン抵抗性改善が寄与している可能性が書かれてある。
まだインスリンの併用だと何割減らすか、減らすのは基礎インスリンか超速効型か、など、今後実臨床でのデータの蓄積が臨床試験では不足している。
この辺りが実臨床での課題かもしれない。

副作用情報-ケトアシドーシス
4例の報告。
少し気になったのが、極端な糖質制限が原因になったものがあったようだ。
近年、糖質制限食を推奨する本が人気を集めており、このブームが糖尿病患者で盛んになると、ケトアシドーシスが増える予感がする。
糖質制限について、極端に良いと書かれた本もあり(しかも著者がお医者さんだったりする)、少し心配だ。

副作用情報-脱水、脳梗塞
脱水は当初から心配されていた副作用で特に夏場は汗もかくことから、特に危険な季節だった。
15例の重症な脱水、12例の脳梗塞、6霊の心筋梗塞狭心症ということで、母数がわからないので、何とも言えないが、安全性はイマイチと言わざるを得ない。
心血管イベントの可能性の高い高齢者はやはり使いにくい薬ということが示唆される。

副作用情報-皮膚症状
イプラグリフロジンの副作用情報同様、皮膚症状が最も頻度の高い副作用で500例以上となっている。
さらに80例の重症例となり、重症な割合が高い。
これも母数がわからないので、割合としては稀なものかもしれないが、やはり最も注意すべき副作用と言えるだろう。
しかもSGLT2阻害薬間で交差反応性があるようで、これはイプラグリフロジン特有のものではなさそうだ。
臨床試験でほとんどない副作用が最も頻度の高い副作用になるとは、なかなかレアなケースかもしれない。
今後は皮膚症状の有無をバイオマーカーなどで簡便に検査できれば使いやすい薬となるかもしれない。

尿路、性器感染症
尿路感染症が120例、性器感染症が80例となっている。
こちらは臨床試験の時点で明らかなものであり、これまで同様女性に多いようだ。

以上、recommendationを復習してみた。
まだ発売されて2週間の処方制限がある中での使用なので、患者さんの数は多くないだろうが、新薬にはこのような情報提供がとても大切だろう。


SanofiがMannkind社の吸入インスリンAfrezzaをライセンシング!

Afrezzaを手にしたのは、なんとSanofi!

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http://online.wsj.com/article/PR-CO-20140811-900182.html

 

 

基礎インスリンLantusでで圧倒的なシェアを獲得しているSanofiが今年の6月にFDAから承認を受けたMannkind社の吸入インスリンAfrezzaのグローバル開発・販売のライセンス契約を締結した。


$150mの前払いと販売目標に応じて最大$775mの支払額となるようだ。

FDAから承認を受けた糖尿病治療薬としては、かなりお買い得といったところだろうか。

やはり超速効型インスリン2強であるLilly, Novoの製品と競えるほど大型製品にはならないということの裏返しとも読めるかもしれない。


1型、2型問わず、超速効型インスリンは基本的には、基礎インスリンと一緒に投与することが多い。

そのことを考えると、すでに注射をしている人にこの吸入のインスリンはどれほど利便性が良いのか、やや疑問が残る。

注射の回数が少ない方が良いのは理解できるが、意外とカートリッジを何度か取り替えて吸ったり、時々ゲホゲホしながら吸うのは注射の慣れた患者にはむしろデメリットとなる可能性もあるのではないだろうか。

 

LantusSanofiにとって、まさにドル箱だが、来年でアメリカで特許が切れ、今後LillyBIの連合軍をはじめ、いくつかの会社がLantusBiosimilarの準備をしている状態だ。

Sanofiにとっても糖尿病でのportfolioを守るために重要な商品になるのかもしれない。

 

吸入インスリンといえば、Pfizer2006年にアメリカで販売したExuberaがある。

Pfizerはブロックバスターとして期待して上市したものの売り上げが伸びず、すぐに撤退したという薬剤だ。

ただし、Exuberaと比較すると、Afrezzaはデバイスとしての大きさや使いやすさは比べ物にならないので、Exuberaの失敗の二の舞になる、というには時期尚早だろう。

 

このWSJのニュースを見て驚いたことは、Mannkind社のCEOであるAlfred Mannさんはなんと88歳!

88歳でFDAの承認とビックファーマとの提携という大きな夢を叶えたCEOをちょっと応援したくなった。

頑張れ、おじいちゃん!!

どうやって上司を説得するか

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誰でも身につけられる"説得"の極意、にすごい納得


ぼくが唯一定期購読している一般誌はクーリエジャポン
この雑誌はUSのみだけでなく、世界中の良質なニュースが読めるとっても貴重な、そして面白い雑誌だ。

今月号の説得の極意、これはInc誌の翻訳のようだが、これまで仕事をしてきて身に付けたぼく流の説得術にも近く、とてもためになったので、簡単に紹介したい。

上司など、目上の人に対して、たとえ科学的に、またはロジカルに正しくても、相手が言っていることが間違えている証拠を出して、自分の意見が正しいと主張するのは大きな間違いだ。
(この行為に腹が立つのは、恥ずかしながら自分に部下ができてはじめて気づいた笑)

この記事によると、うまく人の心を変えるためには以下の4つのポイントを押さえる必要があるそうだ。

  1. 自分の主張はさておき、「相手に同意」してみる
  2. 視点を変えてみることで「問題を再定義」する
  3. 共有できた問題点に対して「解決策を提示」する
  4. 心を変えやすいように「相手を立てる」
いきなり持論をえらそうに話し出すなんて、ビジネスではやはりまずいだろう。
すこし面倒だか、リアクティブに1,2,3の手順を踏んで、やわらかく持論を展開するのが説得のポイントと思われる。
多くの方がこのようなことを心がけていると思うが、このように文章になると、とても説得力が感じられる。

この記事を書いたGeoffrey Jamesさん、Inc誌にたくさんの記事を書いており、どれも面白い。

www.inc.com/author/geoffrey-james


英語も比較的平易に書かれてるので、英語の勉強にも良いかも。






サノフィ/武田薬品  糖尿病の疾患啓発で提携について思うこと


f:id:nsmcuriosity:20140703005936j:plainサノフィと武田の提携、狙いは?


https://nk.jiho.jp/servlet/nk/kigyo/article/1226577889600.html?pageKind=outline

 

SGLT2 inhibitorのすべての製品が2社以上での販売とアライアンスが非常に重要になってきている糖尿病領域であるが、サノフィ/武田が疾患啓発で提携というのはニュースには驚いた。


ラッキーなことにサノフィ:アマリール、ランタス、アピドラ、リキスミア、アプルウェイ、武田:アクトス、ネシーナと同じメカニズムの製品がないことから、このような提携が成立したと推測される。

ただ疾患啓発を提携して、お互いにとってどんなメリットがあるのだろうか。

それよりもこのニュースであったネシーナとアプルウェイの合剤がメインなのでは?と考えてる方が妥当だろうか。

 

DPP4 inhibitor/SGLT2 inbhiotorの合剤はLilly/BIの連合軍をはじめいくつかの会社が海外ではデータを発表しはじめている。この流れにSanofi/武田も遅れまい、ということだろうか。

SGLT2 inihibitorは日本だけ6製品も登場と海外と異なった市場となりそうだ。

日本のみで承認される合剤も含めて、各社戦略を立てる必要があるのだろう。


ところで、このSGLT2 inihibitorだが、DPP4 inhibitorほどインパクトがあるのだろうか。

少なくとも副作用という面ではDPP4 inhibitorほど安心して使える薬ではない印象だ。

意外にもSGLT2 inhibitorが使い勝手が良くないよね、ということになってしまうと、このSanofi/武田のアライアンスもあまり意味のないことになってしまう可能性もあるのだろう。

SGLT2阻害薬の副作用update

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JDSからSGLT2阻害薬の適性使用に関するに関するrecommendation、脳梗塞にも注意が必要か


JDS(日本糖尿病学会)からSGLT2阻害薬発に関するrecommendationが発表された。
ちょうど、発売して1ヶ月後の発表だ。

www.jds.or.jp/common/fckeditor/editor/filemanager/connectors/php/transfer.php?file=/uid000025_7265636F6D6D656E646174696F6E5F53474C54322E706466


これによると、副作用は

  1. 低血糖: 単剤では起こりにくいものの、SUやインスリンなどと併用することで、起こりやすくなる可能性あり
  2. 脳梗塞: 使用した患者さんの母数はわからないが、すでに3例あり。やはり脱水があるので、老人にはあまり積極的に使用しない方が良いかもしれない。特にこれから夏ということで脱水による影響を受けやすい季節になるので、脳梗塞心筋梗塞などのCVイベントの発生が増える可能性が考えられる。
  3. 全身性皮疹、紅斑:これは前回書いたとおり、イプラグリフロジン特有のものか、SGLT2阻害薬のclass effectかは不明。臨床試験ではほとんど認められなかったとの記載がある。
イプラグリフロジンで3の副作用が出たことについて考えてみると、やはりグローバルで開発を辞め、国内開発のみとした新薬は臨床試験の被験者が少ないので、副作用情報も少ないのでは、とも思われる。

別にどこの会社を応援するとかはないが、今後出てくる薬を含めて、どれを飲みたいですか?と聞かれると、グローバルで開発しているダパグリフロジン、カナグリフロジン、エンパグリフロジンになるだろう。

多くの患者さんで臨床試験をしている安心感があるし、これらの薬はCV Outcome試験もクリアしている。

特にカナグリフロジンはアメリカでバカ売れしている、全身性皮疹は問題になっていない、ということを考えると、全身性皮疹は民族性というよりはイプラグリフロジン特異的なstructure basedな可能性も低くないように感じる。

しばらくすると、他のSGLT2阻害薬のデータも出てくるだろうし、その辺りで他の薬剤との差別化が進むのだろうか。

スーグラ(イプラグリフロジン)の意外な副作用

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膀胱炎、尿路感染症でなく、最も多い副作用とは?


日本でfirst in classとなったSGLT2阻害薬スーグラ(イプラグリフロジン)発売から2週間が経ち、第一回の市販後調査•副作用中間報告がアステラス、MSDから開示された。

www.msd.co.jp/Documents/hcp/productinfo/eppv_suglat.pdf


ここに副作用情報のが記載されている。

何人の患者さんに処方されたかは不明なので、副作用の発症率は不明だが、副作用の総計を見ると相対的にどの副作用が多かったのかがわかる。

多かったものをピックアップしてみると、


  • 膀胱炎8例、尿路感染4例など、感染症および寄生虫症の総計は16例、重篤なし
  • 薬疹15例、全身性皮疹4例など、皮膚および皮下組織障害39例、うち重篤13例
  • 頻尿、多尿など腎および尿路障害14例

皮膚障害など、聞いたことがなかったし、先日行われた日本糖尿病学会の学術集会では全く話題にならなかった。

学会での話題としては、副作用情報に気をつけましょう。
一言で表すと、

若くて太った人は合うだろう。痩せてる人はサルコペニアの可能性があるし、老人は脱水や腎障害があることが多いので慎重に。あと、低血糖は起こりにくいけど、他剤との併用したらどうなるかわかんないので注意しましょう


的なトーンに感じた。

低血糖は今回の報告では6例と膀胱炎よりも低い割合ということで、臨床試験の結果同様、実臨床でも多くはなさそうだ。

さて、このイプラグリフロジンの皮膚障害はどの程度の割合なのか、そしてそこそこの発症率の場合はclass effectなのか、それともcompound basedな副作用なのか。

うまくfirst in classを勝ち取ったイプラグリフロジンだが、もし皮膚障害がcompound basedであれば、6製品7ブランドが乱立するSGLT2阻害薬のなかで早々と消える運命も可能性はゼロではない。

そしてclass effectの場合、なんか使いにくいよね、となる可能性も秘めている。

もちろん、たまーに皮膚障害とかあるけど、全然問題なし、となることも考えられる。

大きな差別化要因のない中で、勝ち残る、または消えていくのは、副作用情報がカギとなることもあるだろう。

次の市販後調査•副作用中間報告、他剤の報告にも注目だ。


Lillyのpeglisproのプレスリリース!

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Lillyの新規基礎インスリン製剤は無事上市できるか?

 

LillyのHPで新規基礎インスリン製剤 (basal insulin peglispro; BIL) Phase3データを解析した結果、基礎インスリンの売り上げトップのLantusに血糖降下作用で勝ちましたよ、というプレスリリースがあった。

 

http://newsroom.lilly.com/releasedetail.cfm?ReleaseID=847123

 

通常、インスリン臨床試験treat to targetという形式で行われる。

比較対照薬とは同じ血糖になるようにして、そこで低血糖などの副作用を検証する試験だ。

おそらく、BILtreat to targetプロトコールPhase3をはじめ、同様の血糖値を目指して試験をしたはずだ。

しかし理由は不明だが、LantusよりA1Cの低下作用が強く出たのだろう。

 

しかも体重が減少し、夜間低血糖の頻度も減少したということで、Lantusよりも薬効ではかなり有利な結果だ。

これまでのところ、CVリスクは比較対照薬群と同様のようだ。

 

だが、不安要素も同時に認められた。

 

http://www.benzinga.com/news/14/05/4546503/update-eli-lilly-announces-peglispro-shows-superiority-compared-to-insulin-glargi


  • マイルドながら、統計学的に有意triglyceride (TG)の増加とHDL(善玉コレステロール)の低下
  • 肝脂質の増加(1試験ではBILで増え、もう1試験ではBILで増えていないが対照薬群で減っており、相対的に増えている)
  • ALT(肝障害マーカー)の3倍以上、かつ有意な上昇、シビアな肝障害は報告なし

 

これら一つ一つはそこまでシビアな副作用でないが、3つも副作用として挙げられること、そして何より、CVリスクを上昇する危険因子としての可能性が考えられることだ。

 

Novo NordiskTresibaUSではCVリスクの危険性を指摘され、大規模なCVアウトカム試験を行っている(日本やヨーロッパでは販売されている)。

FDAの近年の厳しい審査を見ると、BILCVリスクまで見てね、となる可能性も大きいように思える。

ロイターの予測だとすんなりUSで発売されれば、2018年には$242m(240億円ぐらい)の売り上げとなるようだ。

 

http://www.reuters.com/article/2014/05/12/us-eli-lilly-study-idUSKBN0DS0WJ20140512

 

マーケットの反応としてはこの情報によりLillyの株価はflatだったようで、全体としては良いデータ、悪いデータともにあって、まだわからないと言ったところだろうか。

 

個人的には、このぐらいの副作用の糖尿病治療薬はUSだけでなく、日本、EUの当局はどう判断するか、これも楽しみ。

US, EUは拒絶してCVアウトカム試験をやりなさい、日本はオッケーみたいなこともある気もするのだが。

Pfizer/AstraZeneca (AZ) update

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一旦はAstraZenecaが拒絶

Pfizer/AZ関連のニュースが日本語でもいくつか出てくるまで世間でも注目されているようだ。

なんと、ヤフーニュースにまで。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140428-00000118-jij-n_ame&pos=4

 

一旦はPfizerの約1000億ドルという巨額の提案をAZが拒絶した模様だが、まだまだわからない。

海外のニュースやブログをいくつか覗いてみると、大きく2つの点に注目されているようだ。

 

1.税金逃れの策

Bloombergの記事を見てみると、PfizerがAZを購入した場合、最も損をする機関はUSの財務省だという。

 

http://www.bloomberg.com/news/2014-04-28/u-s-treasury-seen-loser-in-tax-avoiding-pfizer-deal.html

 

PfizerがAZを買収すると、本社はAZがあるUKへ移行することになるらしい。

(もちろん、本社機能というよりは紙面上となるだろう)

その際、USで35%支払っていた法人税はUKでは20 (今年は21)%となり、さらにUKの儲けに課税されるということになり、高沸するR&D費用や株主へのリターンにも回せるようになるようだ。

 

AppleAmazonのようにtax havenと呼ばれる場所とまではいかないかもしれないが、Pfizerにとっては、大きな節約となる。

またPfizerの税金が入るとなると、UKとしては歓迎すべきことだろう。

Pfizerが買収を仕掛ける前にUKの国と話し合いをした、というニュースも納得だ。

 

2.R&Dの効率化とパイプラインの補充

Forbeの記事を見てみると、やはりDevelopmentでお互いのパイラインでかぶってしまうようなものも多く散見されるが、メガファーマ同士なので、これは仕方ないだろう。

 

http://www.forbes.com/sites/matthewherper/2014/04/28/what-pfizer-would-do-with-astrazenecas-drugs/

 

こちらは前回の記事でも少し書いたが、癌関連はもちろん、抗炎症、心血管、糖尿、CNSなどのAZのパイプラインもPfizerのパイプラインの拡充に貢献しそうだ。

 

そして、Pfizerの柱となりうるひとつであるエスタブリッシュ医薬品。

これはいわゆるジェネリックをカッコ良く言っただけのものであるが、ここに特許が切れそうなクレストールをはじめいくつかのAZの薬剤が当てはまると思われる。

 

さてどうなる?

製薬メーカーに勤めるものとしては、優秀なR&Dの多くの人材がこのようなM&Aで仕事を失うのはとても残念だと思うし、残れた人材のモチベーションもさがってしまうだろう。

日本でも、いつか大手製薬メーカーといわれるような会社がAZのような立場に置かれることも将来的にはあるのだろうか。

 

個人的にはAZにはもう少し買収されずに頑張ってほしい気がする…

さて、どうなるのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

Pfizerが市場最大規模のM&Aを画策か

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市場最大のディール成立なるか?


PfizerがイギリスNo.2の製薬メーカーAstraZenecaへ1000億ドルの買収を提案したが、AstraZenecaがこの案件を拒否した模様。
しかし、再度Pfizerはアプローチするだろうと言われているようで、この金額はどこまであがるのだろうか。

uk.mobile.reuters.com/article/idUKBREA3J08U20140420?irpc=932


2009年にWyethを買収した際は680億ドルということで、もしこのM&Aが成立すれば、それを超える製薬メーカーで最大のディールとなる。


どうやら、癌関連のパイプライン、特に今最も注目されているimmuno-oncology関連の充実が主な要因のようだが、AstraZenecaの呼吸器領域も手に入る。

M&Aによる効率化なんかも考慮されているだろう。


糖尿病関連で言うと、PfizerはライバルのMerckとSGLT2 inhibitor Ertugliflozinを共同で開発し、Phase2に昔から注目されている標的であるACC inhibitorなんかも手掛けている。

一方でAstraZenecaはBMSからの糖尿病のパイブラインを購入したばかりで、DapagliflozinやSaxagliptin、GLP-1アナログなんかも有している。


AstraZeneca級の会社がM&Aの対象になるということは、日本の製薬メーカーはすべて魅力的であれば、その対象になるのだろうか。

それとも、現状は日本の製薬メーカーはそこまで魅力的には見えないのだろうか。


今後も注目だ。