今年の抱負は…どうする?
抱負(目標)設定の時期が来ました!
SGLT2阻害薬副作用update !
SGLT2阻害薬の適正使用に関するrecommendationが公表
www.jds.or.jp/common/fckeditor/editor/filemanager/connectors/php/transfer.php?file=/uid000025_7265636F6D6D656E646174696F6E5F53474C54322E706466
SanofiがMannkind社の吸入インスリンAfrezzaをライセンシング!
Afrezzaを手にしたのは、なんとSanofi!
http://online.wsj.com/article/PR-CO-20140811-900182.html
基礎インスリンLantusでで圧倒的なシェアを獲得しているSanofiが今年の6月にFDAから承認を受けたMannkind社の吸入インスリンAfrezzaのグローバル開発・販売のライセンス契約を締結した。
$150mの前払いと販売目標に応じて最大$775mの支払額となるようだ。
FDAから承認を受けた糖尿病治療薬としては、かなりお買い得といったところだろうか。
やはり超速効型インスリンの2強であるLilly, Novoの製品と競えるほど大型製品にはならないということの裏返しとも読めるかもしれない。
1型、2型問わず、超速効型インスリンは基本的には、基礎インスリンと一緒に投与することが多い。
そのことを考えると、すでに注射をしている人にこの吸入のインスリンはどれほど利便性が良いのか、やや疑問が残る。
注射の回数が少ない方が良いのは理解できるが、意外とカートリッジを何度か取り替えて吸ったり、時々ゲホゲホしながら吸うのは注射の慣れた患者にはむしろデメリットとなる可能性もあるのではないだろうか。
LantusはSanofiにとって、まさにドル箱だが、来年でアメリカで特許が切れ、今後LillyとBIの連合軍をはじめ、いくつかの会社がLantusのBiosimilarの準備をしている状態だ。
Sanofiにとっても糖尿病でのportfolioを守るために重要な商品になるのかもしれない。
吸入インスリンといえば、Pfizerが2006年にアメリカで販売したExuberaがある。
Pfizerはブロックバスターとして期待して上市したものの売り上げが伸びず、すぐに撤退したという薬剤だ。
ただし、Exuberaと比較すると、Afrezzaはデバイスとしての大きさや使いやすさは比べ物にならないので、Exuberaの失敗の二の舞になる、というには時期尚早だろう。
このWSJのニュースを見て驚いたことは、Mannkind社のCEOであるAlfred Mannさんはなんと88歳!
88歳でFDAの承認とビックファーマとの提携という大きな夢を叶えたCEOをちょっと応援したくなった。
頑張れ、おじいちゃん!!
どうやって上司を説得するか
誰でも身につけられる"説得"の極意、にすごい納得
- 自分の主張はさておき、「相手に同意」してみる
- 視点を変えてみることで「問題を再定義」する
- 共有できた問題点に対して「解決策を提示」する
- 心を変えやすいように「相手を立てる」
www.inc.com/author/geoffrey-james
COURRiER Japon (クーリエ ジャポン) 2014年 08月号 [雑誌]
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2014/06/25
- メディア: 雑誌
- この商品を含むブログを見る
サノフィ/武田薬品 糖尿病の疾患啓発で提携について思うこと
サノフィと武田の提携、狙いは?
https://nk.jiho.jp/servlet/nk/kigyo/article/1226577889600.html?pageKind=outline
SGLT2 inhibitorのすべての製品が2社以上での販売とアライアンスが非常に重要になってきている糖尿病領域であるが、サノフィ/武田が疾患啓発で提携というのはニュースには驚いた。
ラッキーなことにサノフィ:アマリール、ランタス、アピドラ、リキスミア、アプルウェイ、武田:アクトス、ネシーナと同じメカニズムの製品がないことから、このような提携が成立したと推測される。
ただ疾患啓発を提携して、お互いにとってどんなメリットがあるのだろうか。
それよりもこのニュースであったネシーナとアプルウェイの合剤がメインなのでは?と考えてる方が妥当だろうか。
DPP4 inhibitor/SGLT2 inbhiotorの合剤はLilly/BIの連合軍をはじめいくつかの会社が海外ではデータを発表しはじめている。この流れにSanofi/武田も遅れまい、ということだろうか。
SGLT2 inihibitorは日本だけ6製品も登場と海外と異なった市場となりそうだ。
日本のみで承認される合剤も含めて、各社戦略を立てる必要があるのだろう。
ところで、このSGLT2 inihibitorだが、DPP4 inhibitorほどインパクトがあるのだろうか。
少なくとも副作用という面ではDPP4 inhibitorほど安心して使える薬ではない印象だ。
意外にもSGLT2 inhibitorが使い勝手が良くないよね、ということになってしまうと、このSanofi/武田のアライアンスもあまり意味のないことになってしまう可能性もあるのだろう。
SGLT2阻害薬の副作用update
JDSからSGLT2阻害薬の適性使用に関するに関するrecommendation、脳梗塞にも注意が必要か
www.jds.or.jp/common/fckeditor/editor/filemanager/connectors/php/transfer.php?file=/uid000025_7265636F6D6D656E646174696F6E5F53474C54322E706466
これによると、副作用は
- 低血糖: 単剤では起こりにくいものの、SUやインスリンなどと併用することで、起こりやすくなる可能性あり
- 脳梗塞: 使用した患者さんの母数はわからないが、すでに3例あり。やはり脱水があるので、老人にはあまり積極的に使用しない方が良いかもしれない。特にこれから夏ということで脱水による影響を受けやすい季節になるので、脳梗塞、心筋梗塞などのCVイベントの発生が増える可能性が考えられる。
- 全身性皮疹、紅斑:これは前回書いたとおり、イプラグリフロジン特有のものか、SGLT2阻害薬のclass effectかは不明。臨床試験ではほとんど認められなかったとの記載がある。
スーグラ(イプラグリフロジン)の意外な副作用
膀胱炎、尿路感染症でなく、最も多い副作用とは?
www.msd.co.jp/Documents/hcp/productinfo/eppv_suglat.pdf
ここに副作用情報のが記載されている。
何人の患者さんに処方されたかは不明なので、副作用の発症率は不明だが、副作用の総計を見ると相対的にどの副作用が多かったのかがわかる。
多かったものをピックアップしてみると、
若くて太った人は合うだろう。痩せてる人はサルコペニアの可能性があるし、老人は脱水や腎障害があることが多いので慎重に。あと、低血糖は起こりにくいけど、他剤との併用したらどうなるかわかんないので注意しましょう
Lillyのpeglisproのプレスリリース!
Lillyの新規基礎インスリン製剤は無事上市できるか?
LillyのHPで新規基礎インスリン製剤 (basal insulin peglispro; BIL) のPhase3データを解析した結果、基礎インスリンの売り上げトップのLantusに血糖降下作用で勝ちましたよ、というプレスリリースがあった。
http://newsroom.lilly.com/releasedetail.cfm?ReleaseID=847123
通常、インスリンの臨床試験はtreat to targetという形式で行われる。
比較対照薬とは同じ血糖になるようにして、そこで低血糖などの副作用を検証する試験だ。
おそらく、BILもtreat to targetのプロトコールでPhase3をはじめ、同様の血糖値を目指して試験をしたはずだ。
しかし理由は不明だが、LantusよりA1Cの低下作用が強く出たのだろう。
しかも体重が減少し、夜間低血糖の頻度も減少したということで、Lantusよりも薬効ではかなり有利な結果だ。
これまでのところ、CVリスクは比較対照薬群と同様のようだ。
だが、不安要素も同時に認められた。
- マイルドながら、統計学的に有意なtriglyceride (TG)の増加とHDL(善玉コレステロール)の低下
- 肝脂質の増加(1試験ではBILで増え、もう1試験ではBILで増えていないが対照薬群で減っており、相対的に増えている)
- ALT(肝障害マーカー)の3倍以上、かつ有意な上昇、シビアな肝障害は報告なし
これら一つ一つはそこまでシビアな副作用でないが、3つも副作用として挙げられること、そして何より、CVリスクを上昇する危険因子としての可能性が考えられることだ。
Novo NordiskのTresibaもUSではCVリスクの危険性を指摘され、大規模なCVアウトカム試験を行っている(日本やヨーロッパでは販売されている)。
FDAの近年の厳しい審査を見ると、BILもCVリスクまで見てね、となる可能性も大きいように思える。
ロイターの予測だとすんなりUSで発売されれば、2018年には$242m(240億円ぐらい)の売り上げとなるようだ。
http://www.reuters.com/article/2014/05/12/us-eli-lilly-study-idUSKBN0DS0WJ20140512
マーケットの反応としてはこの情報によりLillyの株価はflatだったようで、全体としては良いデータ、悪いデータともにあって、まだわからないと言ったところだろうか。
個人的には、このぐらいの副作用の糖尿病治療薬はUSだけでなく、日本、EUの当局はどう判断するか、これも楽しみ。
US, EUは拒絶してCVアウトカム試験をやりなさい、日本はオッケーみたいなこともある気もするのだが。
Pfizer/AstraZeneca (AZ) update
一旦はAstraZenecaが拒絶
Pfizer/AZ関連のニュースが日本語でもいくつか出てくるまで世間でも注目されているようだ。
なんと、ヤフーニュースにまで。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140428-00000118-jij-n_ame&pos=4
一旦はPfizerの約1000億ドルという巨額の提案をAZが拒絶した模様だが、まだまだわからない。
海外のニュースやブログをいくつか覗いてみると、大きく2つの点に注目されているようだ。
1.税金逃れの策
Bloombergの記事を見てみると、PfizerがAZを購入した場合、最も損をする機関はUSの財務省だという。
http://www.bloomberg.com/news/2014-04-28/u-s-treasury-seen-loser-in-tax-avoiding-pfizer-deal.html
PfizerがAZを買収すると、本社はAZがあるUKへ移行することになるらしい。
(もちろん、本社機能というよりは紙面上となるだろう)
その際、USで35%支払っていた法人税はUKでは20 (今年は21)%となり、さらにUKの儲けに課税されるということになり、高沸するR&D費用や株主へのリターンにも回せるようになるようだ。
AppleやAmazonのようにtax havenと呼ばれる場所とまではいかないかもしれないが、Pfizerにとっては、大きな節約となる。
またPfizerの税金が入るとなると、UKとしては歓迎すべきことだろう。
Pfizerが買収を仕掛ける前にUKの国と話し合いをした、というニュースも納得だ。
2.R&Dの効率化とパイプラインの補充
Forbeの記事を見てみると、やはりDevelopmentでお互いのパイラインでかぶってしまうようなものも多く散見されるが、メガファーマ同士なので、これは仕方ないだろう。
http://www.forbes.com/sites/matthewherper/2014/04/28/what-pfizer-would-do-with-astrazenecas-drugs/
こちらは前回の記事でも少し書いたが、癌関連はもちろん、抗炎症、心血管、糖尿、CNSなどのAZのパイプラインもPfizerのパイプラインの拡充に貢献しそうだ。
そして、Pfizerの柱となりうるひとつであるエスタブリッシュ医薬品。
これはいわゆるジェネリックをカッコ良く言っただけのものであるが、ここに特許が切れそうなクレストールをはじめいくつかのAZの薬剤が当てはまると思われる。
さてどうなる?
製薬メーカーに勤めるものとしては、優秀なR&Dの多くの人材がこのようなM&Aで仕事を失うのはとても残念だと思うし、残れた人材のモチベーションもさがってしまうだろう。
日本でも、いつか大手製薬メーカーといわれるような会社がAZのような立場に置かれることも将来的にはあるのだろうか。
個人的にはAZにはもう少し買収されずに頑張ってほしい気がする…
さて、どうなるのだろう。
Pfizerが市場最大規模のM&Aを画策か
市場最大のディール成立なるか?
uk.mobile.reuters.com/article/idUKBREA3J08U20140420?irpc=932
2009年にWyethを買収した際は680億ドルということで、もしこのM&Aが成立すれば、それを超える製薬メーカーで最大のディールとなる。
どうやら、癌関連のパイプライン、特に今最も注目されているimmuno-oncology関連の充実が主な要因のようだが、AstraZenecaの呼吸器領域も手に入る。
M&Aによる効率化なんかも考慮されているだろう。
糖尿病関連で言うと、PfizerはライバルのMerckとSGLT2 inhibitor Ertugliflozinを共同で開発し、Phase2に昔から注目されている標的であるACC inhibitorなんかも手掛けている。
一方でAstraZenecaはBMSからの糖尿病のパイブラインを購入したばかりで、DapagliflozinやSaxagliptin、GLP-1アナログなんかも有している。
AstraZeneca級の会社がM&Aの対象になるということは、日本の製薬メーカーはすべて魅力的であれば、その対象になるのだろうか。
それとも、現状は日本の製薬メーカーはそこまで魅力的には見えないのだろうか。
今後も注目だ。